新型コロナウイルス感染症の発生からすでに3年が経過しました。今年卒業された学生は、学校生活のすべてをコロナ禍で過ごしたことになります。
当初のデルタ株は毒性が強く、死亡率も高く若者にとってもかなり危険な感染症でした。しかし近年のオミクロン株は、ワクチン接種を行っている健康人であれば重症化はまれになってきました。一方、感染力は強く陽性者数は増加傾向です。政府も規制緩和や経済対策を打ち出し、withコロナ時代に突入しています。しかしハイリスクの方々にとっては未だに危険な感染症です。実際、日々の死亡者数は増加傾向です。私ども医療に携わる人間は常にハイリスクの患者さまと接触するので、自分たちが感染することは患者さまにとっての大きなリスクとなります。
看護教育にとって病院実習は非常に重要です。しかし、多くの医療機関が新型コロナ感染症の持ち込みを恐れ実習を受け入れていません。本校は関連病院や関連施設と共通の感染対策を行い、可能な限り平常時と変わらない実習を行って参りました。学生も医療人としての責任を認識し、多少の家庭内感染は認めたものの学校内のクラスターはなく、実習病院に迷惑を掛けることなく過ごして参りました。医療のプロフェッショナルとして大切なことは、正しい知識と技術により感染リスクを可能な限り下げることです。コロナ禍により学生生活で経験できるはずの様々なことが失われたことは本当に残念ですが、医療人としての自覚や責任は養われたのかもしれません。
看護という仕事はやりがいのある仕事である一方、新型コロナウイルスに限らず常にさまざまなリスクと隣り合わせです。精神的にも肉体的にもつらい状況になることは必ずあります。学生生活においても3年間という限られた時間の中で、膨大な知識や技術を習得しなければなりません。
実習では大きなプレッシャーや多くの失敗を経験するでしょう。これらは看護師を目指す誰もが経験することです。重要なことは、どんな状況においても常にモチベーションを維持し、続けられる術を持つことです。その方法は個人によって異なると思いますが、結局は自分を救える人こそが、他人を救えるのではないでしょうか。そして多くの困難や高い壁を乗り越えてこそ、達成感や満足感そして感動を味わえるのだと思います。
安房医療福祉専門学校には新卒者から社会人まで、さまざまな背景を持った人たちが、看護師になるという同じ目標を持って入学してきます。そして、お互い助け合い、励まし合い、“国家試験全員合格”を目指して頑張っています。国家試験は競争試験ではありません。学生同士が励まし合い、助け合うことによって良い結果が生まれるのだと思います。
これからも本校が開学時より大切にしてきた、イコールパートナーシップ、多様性、柔軟性、国際性を軸とし、未来に活躍できる看護師を養成していきたいと思います。
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